ジェネリック医薬品とは、同一の成分が、同一量含有され、同一の経路から投与され、同一の用法・用量、同一の効能効果を有する医薬品であり、後発医薬品ともいいます。新薬の「物質特許」が切れた後、ジェネリック医薬品の開発が可能となりますが、ただ特許が切れた薬ではありません。
そもそもジェネリック医薬品が開発される時期には、先発医薬品のみが独占的に臨床使用を認められている期間に、医療スタッフによる治療経験、使用経験は積み重ねられて、多くのレポートして積み上げ公表され、副作用報告も世界規模で収集され容易にそれら情報を入手できる環境の形成も行われる状態に至っています。そのため、ジェネリック医薬品が世に出る時期においては、医薬品を具体的に供給するメーカーに頼らなくても、医療スタッフの経験と情報収集能力によって使いこなすことができるとの期待と判断が背後にあります。
即ち、当事者に自覚されているかどうかとは別に、客観的な状況として、医療スタッフのサポートの上に価格の安い使い慣れた医薬品を使っていくという構造となっています。だから、ジェネリック医薬品として承認するかどうかの判断は、先発医薬品に積み上げられてきた情報を引き継げる医薬品としての条件を備えた医薬品であるかどうか、有効性、安全性に影響を与える製剤特性が先発医薬品と同等かどうかに置かれています。
この背景の上に、ジェネリック医薬品の開発は先発品が用いている同じ特性を有する原薬を用いた製剤の開発からスタートします。先発医薬品と同様の有効性、安全性を示すように製剤が作られていることが確認できれば、臨床上の有効性、安全性は同じとすることができます。だから、多数の患者を対象とした臨床試験も必要ないとしています(生物学的同等性試験の項参照)。厚生労働省では先発医薬品と同等の有効性、安全性を示す特性を有した医薬品であるかを中心に審査します。このように、限られた項目のみの資料作成の為の開発研究を行い、それは短期間で終わります。先発医薬品が独占的に医療で使用され積み上げられた膨大な使用経験、使用データを背景に、必要な部分だけを短期間の内に経費をかけずに開発できるのがジェネリック医薬品と言えます。
これが、ジェネリック「JENERIC(一般的な、包括的な、全体的な)」と言われる理由です。これまでに、ガイドラインも何度も改訂され、欧米と同様に開発製造され、今は「ゾロ」と見下されていた時代の薬とは異なります。ジェネリック医薬品の品質、有効性、安全性は先発医薬品と同等であることは、科学的、合理的に審査され、承認後の品質は厳しいシステム管理のもとで維持されています。私は、医療者が、偏見に惑わされないで、安心して治療に使われることを希望します。